半泊教会(Handomari Church) 


五島市(旧福江市)戸岐町半泊
大正11年献堂 木造
三沢博昭写真集「大いなる遺産 長崎の教会」より

祈りによって支えられる教会

「なぜここに教会を」と尋ねたい、不便なところにある寂しい教会。が、穏やかな湾から見ると、教会は全体を見渡すかのように、風景の中心となる。地名が船旅の途中に寄る場所を指していよう。
 日曜日の朝、漁師たちは家族を乗せて「半泊まり」してミサに参加していたであろう。海と教会を挟む防風石垣が、半泊教会の特徴である。私には、迫害の嵐を防ぎなが教会を隠さなくてもよい時代を願う、先祖を思い起こす象徴に見えた。
 素朴な木材、飾りがほとんどない祭壇と壁が、「教会らしい」祈りの雰囲気をつくる。祭壇の裏にある色グラスの窓は教会全体の光を神秘的な中心空間を示す。その静けさを味わうと教会の新しい側面が現れる。それは、その空間に向かって一週間の疲れ、悩みと希望を注いでミサに預かる人々の心である。それを必要としている人々はこの教会に意味を与えると気づかされる。教会が祈る共同体の現れであると感じさせる建物である。すると、この教会がここにしかあり得ない教会になってくる。素朴さと雰囲気がそれを造った、また利用する人々の心を現す存在とも言えよう。ここでしか捧げられない祈りを感じる人々がいるからこそ、半泊に教会があるのではないか。同時にこの教会は「心の半泊」、癒しを必要とする人によっても支えられる気がした。
 いつまでも静かに待つ教会が昔の人々の生きる秘密「心の半泊り」を示してくれると確信している。

De Luca, Renzo,sj(デ・ ルカ・レンゾ、二十六聖人記念館館長)
2003年5月11日長崎新聞掲載